オブジェクト、文字列、配列が作成されるとき、それを格納するのに必要なメモリは ヒープ と呼ばれる中央集約的なプールから割り当てられます。アイテムが使用されなくなると、それに使用されていたメモリを何か別のもののために確保することができます。以前は、適切な関数コールを通じて明示的にヒープメモリブロックを割り当てたり解放することは、通常はプログラマ自身の責任でした。最近では Mono エンジンのようなランタイムシステムがメモリ管理を自動化しています。自動メモリ管理では、明示的に割り当て/リリースするよりコーディングの労力が大幅に削減され、かつメモリリーク (メモリを割り当て、使用しなくなってもリリースされない状況) の潜在的な可能性を著しく下げます。
関数が呼び出されると、引数の値はその特定の呼び出しのために予約されたメモリエリアにコピーされます。数バイトを占有するデータ型は速やかに簡単にコピーができます。しかし、オブジェクト、文字列、配列がそれよりも大きいことは良くあることであり、もしこのようなデータが定期的にコピーされると非常に非効率的です。幸いにこのようなことはありません。大きなアイテムのための実際のストレージのスペースはヒープから割り当てられ、小さな “ポインター” 値がその場所を覚えるために使用されます。それ以降は、ポインターをコピーすることのみがパラメーターを渡す際に必要となります。ランタイムシステムがポインターにより識別されるアイテムを見つけられるかぎり、データの 1 コピーは何回でも使用することができます。
パラメーターを渡すときに直接格納されてコピーされる型は値型と呼ばれます。これらには int、float、boolean、および Unity の struct 型 (例えば、Color や Vector3) も含まれます。ヒープに割り当てられて、ポインターを通してアクセスされる型は参照型と呼ばれます。なぜなら、変数に格納されている値はあくまでも実際のデータを “参照” しているからです。参照型の例にはオブジェクト、文字列、配列が含まれます。
メモリマネージャーはヒープの中で未使用であると認識している領域をトラッキングします。新しいメモリブロックが要求されると (例えば、オブジェクトがインスタンス化された時)、マネージャーはブロックを割り当てる未使用領域を選択し、未使用と認識されているスペースから割り当てされたメモリを取り除きます。後続の要求は、必要なブロックサイズを割り当てるために十分な空き領域がなくなるまで、同じ方法で処理されます。この時点ではヒープから割り当てられたすべてのメモリがまだ使用中であることはきわめて稀です。ヒープ上の参照アイテムは、それを指す参照変数がまだ存在するかぎりはアクセスできます。もしメモリブロックを参照するすべての参照がなくなると (すなわち、参照変数が再度割り当てされたか、参照変数がスコープ外となったローカル変数である場合) は、占有していたメモリは安全に再割り当てできます。
どのヒープブロックがもう使用されていないかを判断するために、メモリマネージャーは現在アクティブなすべての参照変数を検索して、ブロックを “活動中” としてマーキングします。検索の最後に活動中のブロックの間の空間はメモリマネージャーにより空いていると判断され、後続の割り当てで使用されます。未使用のメモリの検索や解放はガベージコレクション、略して GC と呼ばれます。
Unity uses the Boehm–Demers–Weiser garbage collector, a stop-the-world garbage collector. Whenever Unity needs to perform garbage collection, it stops running your program code and only resumes normal execution when the garbage collector has finished all its work. This interruption can cause delays in the execution of your game that last anywhere from less than one millisecond to hundreds of milliseconds, depending on how much memory the garbage collector needs to process and on the platform the game is running on. For real-time applications like games, this can become quite a big issue, because you can’t sustain the consistent frame rate that smooth animation require when the garbage collector suspends a game’s execution. These interruptions are also known as GC spikes, because they show as spikes in the Profiler frame time graph. In the next sections you can learn more about how to write your code to avoid unnecessary garbage-collected memory allocations while running the game, so the garbage collector has less work to do.
ガベージコレクションは自動的であり、プログラマーにとって目に見えませんが、GC プロセスは実際には裏でかなりの CPU 時間を必要とします。正しく使用されれば、自動メモリ管理によって、一般的に手動割り当てと同等か、それ以上の全体パフォーマンスを得られます。ただし、プログラマーは、コレクターを必要以上に頻繁に使用して、実行中に一時停止させるという誤りを避けることが重要です。
問題ないようにみえて GC の悪夢を発生させる悪名高いアルゴリズムもいくつかあります。繰り返しの文字列連結は昔からある事例です。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
void ConcatExample(int[] intArray) {
string line = intArray[0].ToString();
for (i = 1; i < intArray.Length; i++) {
line += ", " + intArray[i].ToString();
}
return line;
}
}
ここで鍵となるポイントは、新しい部分が文字列の所定の位置に 1 つずつ追加されるわけではないということです。実際に行われることは、ループするたびに line 変数の前回の中身が削除されます。新しい文字列全体は、もとの部分の後ろに新しい部分を加えたコンテンツに置き換えられます。文字列は i の増加分だけ長くなるため、消費されるヒープの量もまた増加し、この関数が呼び出されるたびに数百バイトの空きヒープ領域を容易に使用します。もし多くの文字列を連結する場合は、Mono ライブラリの System.Text.StringBuilder クラスを使用したほうがずっと効率的と言えます。
ただし、繰り返しの連結ですら、頻繁に呼び出されない限りそこまでの問題を引き起こしません。Unity でその頻繁となりうる要因は暗黙的にはフレーム更新です。次のような場合です。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
public GUIText scoreBoard;
public int score;
void Update() {
string scoreText = "Score: " + score.ToString();
scoreBoard.text = scoreText;
}
}
このコードで各 Update が呼び出されるたびに新しい文字列が割り当てされ、新しいガベージが常に生成されます。そのほとんどはスコアが変更されたときのみテキストを更新することで節約できます。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
public GUIText scoreBoard;
public string scoreText;
public int score;
public int oldScore;
void Update() {
if (score != oldScore) {
scoreText = "Score: " + score.ToString();
scoreBoard.text = scoreText;
oldScore = score;
}
}
}
もうひとつの潜在的な問題は関数が配列の値を返すときに発生します。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
float[] RandomList(int numElements) {
var result = new float[numElements];
for (int i = 0; i < numElements; i++) {
result[i] = Random.value;
}
return result;
}
}
この種の関数は、値で埋められた新しい配列を作成するときに、非常にエレガントで便利です。しかし、繰り返し呼び出されると、真新しいメモリが毎回割り当てられます。配列は非常に大きくなりえるため、空きヒープ領域があっという間に使い切られることがあり、結果的に頻繁にガベージコレクションが行われます。この問題を回避する方法は配列が参照型であることを活用することです。関数にパラメーターとして渡される配列はその関数の中で更新することができて、結果は関数が返した後も残ります。前述のような関数は、多くの場合に次のような関数で置き換えできます。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
void RandomList(float[] arrayToFill) {
for (int i = 0; i < arrayToFill.Length; i++) {
arrayToFill[i] = Random.value;
}
}
}
これは、単に既存の配列のコンテンツを新しい値で置き換えます。初期の配列の割り当てが呼び出す側のコードで行われますが (ややエレガントでありませんが)、関数が呼び出されるときに新しいガベージを生成することはなくなります。
Mono や IL2CPP スクリプティングバックエンドを使用している場合、ガベージコレクション中の CPU の急増は、実行時にガベージコレクションを無効にすることで回避できます。ガベージコレクションを無効にすると、ガベージコレクターは参照を持たないオブジェクトを収集しないため、メモリ使用量が減少することはありません。ガベージコレクションを無効にすると、実際にはメモリ使用量が増加するのみです。時間がたつにつれ増加するメモリ使用を避けるために、メモリを管理するときに注意してください。理想的には、ガベージコレクターを無効にする前にすべてのメモリを割り当て、無効になっている間に追加のメモリ割り当てを行わないようにします。
実行時にガベージコレクションを有効/無効にする方法の詳細については、GarbageCollector スクリプティング API を参照してください。
You can also try an Incremental garbage collection option.
As mentioned above, it is best to avoid allocations as far as possible. However, given that they can’t be completely eliminated, there are two main strategies you can use to minimise their intrusion into gameplay.
この方法がベストであるのは、長時間プレイし、スムーズなフレームレートを実現することが重要であるゲームの場合です。このようなゲームは一般的に小さなブロックを頻繁に割り当てしますが、これらのブロックは短期間しか使用されません。iOS でこのアプローチをとるときの典型的なヒープサイズは 200KB ぐらいであり、ガベージコレクションは iPhone 3G で 5ms ほどかかります。もしヒープが 1MB に増加すると、コレクションは 7ms かかります。このため定期的なフレームのインターバルでガベージコレクションを要求することにメリットがあります。厳密にはこれは一般的にコレクションを必要以上に発生させますが、素早く処理されゲームへの影響は最小で済みます。
if (Time.frameCount % 30 == 0)
{
System.GC.Collect();
}
しかし、このテクニックは注意して使用すべきで、プロファイラー統計をチェックして、ゲームで本当にコレクション時間が削減されていることを確認してください。
このアプローチがベストであるのは、メモリ割り当て (ひいてはコレクション) が相対的に頻繁でなく、ゲームの一時停止の際に処理できるようなゲームです。システムメモリ不足のために、OS がアプリケーションを強制終了しない範囲で、ヒープをできる限り大きくするのに役立ちます。ただし、Mono ランタイムはヒープを自動的に拡大することをできるかぎり回避します。ヒープを手動で拡大するには、起動中、プレースホルダーによってスペースを事前に割り当てします (すなわち、“無意味な” オブジェクトをインスタンス化して、メモリ管理の効果のために割り当てます)。
//C# script example
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class ExampleScript : MonoBehaviour {
void Start() {
var tmp = new System.Object[1024];
// make allocations in smaller blocks to avoid them to be treated in a special way, which is designed for large blocks
for (int i = 0; i < 1024; i++)
tmp[i] = new byte[1024];
// release reference
tmp = null;
}
}
十分に大きなヒープは、コレクションを伴うゲームの一時停止の合間に、完全に使い切ることはありません。もしそのような一時停止が生じる場合は、コレクションを明示的に要求します。
System.GC.Collect();
繰り返しとなりますが、このアプローチをとるときは注意すべきであり、プロファイラー統計をチェックして、思い込みでなく本当に効果が得られていることをきちんと確認すべきです。
作成および破棄されるオブジェクトの数を減らすだけで、ガベージを回避できる場合が多くあります。ゲームの中で、発射物のような特定のオブジェクトのように、いっぺんに使用することは数回しか無いにもかかわらず、何度も繰り返し使用するケースがあります。こういったケースでは、古いものを破棄して新しいもので置き換えるのではなく、オブジェクトを再利用することが可能です。
Note: This is a preview feature and is subject to change. Any Projects that use this feature may need updating in a future release. Do not rely on this feature for full-scale production until it is officially released.
Incremental Garbage Collection spreads out the work performed to perform garbage collection over multiple frames.
With Incremental garbage collection, Unity still uses the Boehm–Demers–Weiser garbage collector, but runs it in an incremental mode. Instead of doing a full garbage collection each time it runs, Unity splits up the garbage collection workload over multiple frames. So instead of having a single, long interruption of your program’s execution to allow the garbage collector to do its work, you have multiple, much shorter interruptions. While this does not make garbage collection faster overall, it can significantly reduce the problem of garbage collection “spikes” breaking the smoothness of your game by distributing the workload over multiple frames.
The following screenshots from the Unity Profiler, without and with incremental garbage collection enabled, illustrate how incremental collection reduces frame rate hiccups. In these profile traces, the light blue parts of the frame show how much time is used by script operations, the yellow parts show the time remaining in the frame until Vsync (waiting for the next frame to begin), and the dark green parts show the time spent for garbage collection.
Without incremental GC (above), you can see a spike interrupting the otherwise smooth 60fps frame rate. This spike pushes the frame in which garbage collection occurs well over the 16 millisecond limit required to maintain 60FPS. (In fact, this example drops more than one frame because of garbage collection.)
With incremental garbage collection enabled (above), the same project keeps its consistent 60fps frame rate, as the garbage collection operation is broken up over several frames, using only a small time slice of each frame (the darker green fringe just above the yellow Vsync trace).
This screenshot shows the same project, also running with incremental garbage collection enabled, but this time with fewer scripting operations per frame. Again, the garbage collection operation is broken up over several frames. The difference is that this time, the garbage collection uses more time each frame, and requires fewer total frames to finish. This is because we adjust the time allotted to the garbage collection based on the remaining available frame time if Vsync or Application.targetFrameRate is being used. This way, we can run the garbage collection in time which would otherwise be spent waiting, and thus get garbage collection “for free”.
Incremental garbage collection is currently supported on the following platforms:
Note that incremental garbage collection is not currently supported on WebGL. Incremental garbage collection requires the .NET 4.x Equivalent scripting runtime version.
On supported configurations, Unity provides Incremental garbage collection as an option in the “Other settings” area of the Player settings window. Just enable the Use incremental GC checkbox.
In addition, if you set the VSync Count to anything other than Don’t Sync in your project Quality settings or with the Application.VSync property or you set the Application.targetFrameRate property, Unity automatically uses any idle time left at the end of a given frame for incremental garbage collection.
You can exercise more precise control over incremental garbage collection behavior using the Scripting.GarbageCollector class. For example, if you do not want to use VSync or a target frame rate, you could calculate the amount of time available before the end of a frame yourself and provide that time to the garbage collector to use.
In most cases, incremental garbage collection can mitigate the problem of garbage collection spikes. However, in some cases, incremental garbage collection may not prove beneficial in practice.
When incremental garbage collection breaks up its work, it breaks up the marking phase in which it scans all managed objects to determine which objects are still in use and which objects can be cleaned up. Dividing up the marking phase works well when most of the references between objects don’t change between slices of work. When an object reference does change, those objects must be scanned again in the next iteration. Thus, too many changes can overwhelm the incremental garbage collector and cause a situation where the marking pass never finishes because it always has more work to do – in this case, the garbage collection falls back to doing a full, non-incremental collection.
Also, when using incremental garbage collection, Unity needs to generate additional code (known as write barriers) to inform the garbage collection whenever a reference has changed (so the garbage collection will know if it needs to rescan an object). This adds some overhead when changing references which can have a measurable performance impact in some managed code.
Still, most typical Unity projects (if there is such a thing as a “typical” Unity project) can benefit from incremental garbage collection, especially if they suffer from garbage collection spikes.
Always use the Profiler to verify that your game or program performs as you expect.
メモリ管理は巧妙で複雑なトピックであり、知識を獲得する労力も大きいものです。さらに詳しく学びたい場合は memorymanagement.org に素晴らしい情報が紹介されており、出版物やオンラン記事が一覧になっています。オブジェクトプールの詳細は Wikipedia ページ (英語) と Sourcemaking.com を参照してください。