カリングは、視点から見えない反対側を向いたポリゴンをレンダリングしないという最適化手法です。すべてのポリゴンは表と裏側があり、オブジェクトのほとんどが閉じている事実を利用します。もしキューブがあった場合、視点と反対側を見ることはない(必ず視点の側を向いている面がある)ので、反対側の面は描画する必要がありません。このためバックフェースカリング(反対側の面の除去)と名づけられてます。
レンダリングを正しく見せるもうひとつの機能はデプステスト( Depth testing )です。デプステストにより、シーンの中でもっとも近いオブジェクト表面のみ描画されることをチェックします。
Cull Back | Front | Off
ポリゴンのどちら側をカリングする(描画しない)か制御。
Back 視点と反対側のポリゴンをレンダリングしないようにします。 (デフォルト) .
Front 視点と同じ側のポリゴンをレンダリングしない。オブジェクトを反転するのに使用します。
Off カリングを無効にして、すべての面を描画します。特殊なエフェクトで使用します。
ZWrite On | Off
オブジェクトのピクセルをデプスバッファに書き込むかどうかを制御します (デフォルトは On)。実線でオブジェクトを描画する場合は、これを On にします。半透明の効果を描画する場合は ZWrite Off
にします。詳細は後述を参照してください。
ZTest Less | Greater | LEqual | GEqual | Equal | NotEqual | Always
デプステストの実行方法。デフォルトは LEqual (すでに描画されているオブジェクトと距離が等しいか、より近い場合に描画します。それより遠い場合はオブジェクトで隠します)
Offset Factor, Units
Factor と Units、2 つのパラメーターでデプスのオフセットを指定することができます。Factor は、ポリゴンの X または Y に基づいて Z 傾斜の最大値を増減します。Units は、最小の解決できるデプスバッファ値を増減します。これにより、たとえ同じ位置にある場合でも、1 つのポリゴンを他の上 (表面側) に描画することができます。例えば、Offset 0, -1
はポリゴンの傾斜を無視して、ポリゴンをカメラ近くに引き寄せます。一方、Offset -1, -1
は、グレージング角で表示するときに、さらに近くにポリゴンを引き寄せます。
オブジェクトの反対側の面のみレンダリングします。
Shader "Show Insides" {
SubShader {
Pass {
Material {
Diffuse (1,1,1,1)
}
Lighting On
Cull Front
}
}
}
キューブで適用してみて、周回したときに形状に違和感を感じることに気付いてください。これはキューブの内部しか見ていないためです。
通常 透明シェーダーファミリ (部分的に透過なシェーダー)はデプスバッファに書き込みしません。しかしこれにより、特に複雑で Convex (非凸)のメッシュでは、描画順の問題が生まれる可能性があります。もしそのようなメッシュをフェードイン・フェードアウトした場合、透過をレンダリングする前に、デプスバッファを埋めるシェーダーを使用するのが役立ちます。
Shader "Transparent/Diffuse ZWrite" {
Properties {
_Color ("Main Color", Color) = (1,1,1,1)
_MainTex ("Base (RGB) Trans (A)", 2D) = "white" {}
}
SubShader {
Tags {"Queue"="Transparent" "IgnoreProjector"="True" "RenderType"="Transparent"}
LOD 200
// デプスバッファのみにレンダリングする追加パス
Pass {
ZWrite On
ColorMask 0
}
// Transparent/Diffuse からフォワードレンダリングのパスに貼り付けます
UsePass "Transparent/Diffuse/FORWARD"
}
Fallback "Transparent/VertexLit"
}
次はより興味深い内容で、最初にオブジェクトを法線マップ頂点ライティングでレンダリングした後、次にバックフェースを明るいピンクでレンダリングします。これにより法線が反転しないといけないところがハイライトされる効果が得られます。物理挙動で制御されたオブジェクトがどれかのメッシュにより’吸い込まれる’ 現象がある場合、このシェーダーを割り当ててください。もしピンクの部分が見える場合、メッシュは引きこまれてしまいます。
実際にやってみます。
Shader "Reveal Backfaces" {
Properties {
_MainTex ("Base (RGB)", 2D) = "white" { }
}
SubShader {
// オブジェクトの前向き部分をレンダリングします
// シンプルな白いマテリアルを使用し、メインテクスチャを適用します
Pass {
Material {
Diffuse (1,1,1,1)
}
Lighting On
SetTexture [_MainTex] {
Combine Primary * Texture
}
}
// 大部分の後ろ向きの三角をレンダリングします
// 空間で目立つ色: 明るいピンク!
Pass {
Color (1,0,1,1)
Cull Front
}
}
}
カリングの制御はバックフェース以外でも便利です。透過オブジェクトで、オブジェクトのバックフェースを表示したい場合があります。もしカリング一切なしでレンダリングした場合( Cull Off )、いくつかの裏面が表面と重なってしまうことがよくあります。
次の例は、凸なオブジェクト(球、キューブ、車のフロントガラス)で使用できる、シンプルなシェーダーです。
Shader "Simple Glass" {
Properties {
_Color ("Main Color", Color) = (1,1,1,0)
_SpecColor ("Spec Color", Color) = (1,1,1,1)
_Emission ("Emmisive Color", Color) = (0,0,0,0)
_Shininess ("Shininess", Range (0.01, 1)) = 0.7
_MainTex ("Base (RGB)", 2D) = "white" { }
}
SubShader {
// マテリアルをサブシェーダーで定義することによって、多くのパスで使用します。
// ここで定義したものは、含まれるパスのデフォルト値になります。
Material {
Diffuse [_Color]
Ambient [_Color]
Shininess [_Shininess]
Specular [_SpecColor]
Emission [_Emission]
}
Lighting On
SeparateSpecular On
// アルファブレンディングを設定
Blend SrcAlpha OneMinusSrcAlpha
// オブジェクトの後ろ向き部分をレンダリング
// オブジェクトが凸状ならば、これらは常に前向き部分より
// 遠くになります
Pass {
Cull Front
SetTexture [_MainTex] {
Combine Primary * Texture
}
}
// こちらを向いているオブジェクトをレンダリングします
// オブジェクトが凸状ならば、これらは常に後ろ向き部分より
// 近くになります
Pass {
Cull Back
SetTexture [_MainTex] {
Combine Primary * Texture
}
}
}
}